インプラント治療の術後は腫れる?腫れの原因やピーク・期間を解説

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「インプラント治療の術後は腫れる?」「インプラント手術後に腫れがどれくらい出るか事前に知りたい」「腫れを軽減する方法や生活上の注意点を知りたい」と思っていませんか?
インプラント手術を検討しているが、「術後に顔が腫れるのではないか」と見た目への影響を心配しているのではないでしょうか。
結論、インプラント治療後の腫れは、多くの場合手術に対する正常な治癒反応であり、過度に心配する必要はありません。
本記事では、「インプラント治療の術後は腫れるのか、腫れの原因やピーク・期間」を紹介します。インプラントの腫れ以外に注意すべきことまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

目次

インプラント治療の術後は腫れる?

インプラント治療の術後は多くの場合で腫れが生じますが、そのほとんどは手術に対する体の正常な治癒反応(生理的反応)です。
インプラント手術は、歯茎の切開や顎の骨に穴を開ける外科処置を伴います。手術で組織がダメージを受けると、体は修復しようとして炎症反応を起こし、この治癒過程で患部に腫れや熱感、痛みを引き起こしやすいです。
よってインプラント治療後の腫れは、傷が順調に治っている証拠と考えられます。

インプラント手術後に腫れる主な原因

インプラント手術後に腫れる主な原因は、以下の2つです。

  • ほとんどは心配ない生理的な腫れ
  • 注意が必要な病的な腫れ

それぞれ解説します。

ほとんどは心配ない生理的な腫れ

手術後の生理的な腫れは、体の正常な防御反応によって生じるため、ほとんど心配いりません。
インプラント手術で歯茎や骨がダメージを受けると、体はその傷を治そうと患部に血液を多く集めます。これが炎症反応であり、血管が拡張して血液成分が組織に染み出すことで腫れが発生します。手術後の腫れは、組織が再生・修復される過程で起こる自然な現象です。

注意が必要な病的な腫れ

手術部位から細菌が侵入して感染を起こす「病的な腫れ」には注意が必要です。傷口の管理が不十分であったり、口内が不潔だったりすると、細菌が繁殖して炎症を引き起こすことがあります。
この場合、強い腫れやズキズキとした痛み、排膿、きつい口臭などを伴うのが特徴です。病的な腫れを放置すると、インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こす「インプラント周囲炎」に発展し、最悪の場合はインプラントの脱落につながる恐れもあるため、疑わしい場合は早期に歯科医院で処置を受けなければなりません。

インプラント後の腫れのピーク・期間の目安

インプラント手術後の腫れは、術後48〜72時間(2〜3日後)でピークを迎えるのが一般的です。手術直後より翌日や翌々日の方が腫れが目立つことも多いため、驚かれるかもしれません。
しかし、これは正常な経過です。ピークを過ぎると腫れは徐々に引き、通常1〜2週間程度でほとんど気にならない状態まで治まります。
もし術後3日を過ぎても腫れが強くなる、あるいは2週間以上経っても引かない場合は、何らかの問題が起きている場合も考えられます。
少しでも不安や違和感を感じたら、歯科医師に相談するようにしましょう。

インプラント後の腫れを抑えるために自分でできるセルフケア

インプラント後の腫れを抑えるために自分でできるセルフケアは、以下の5つです。

  • 処方された薬を指示通りに服用する
  • 患部を冷やす際は冷やしすぎない
  • 飲酒・喫煙・激しい運動は控える
  • 手術した部分への刺激は避ける
  • 口内を清潔に保って感染を予防する

ひとつずつ解説します。

処方された薬を指示通りに服用する

歯科医院から処方された抗生物質や消炎鎮痛剤は、指示通りに正しく服用することが重要です。抗生物質は細菌感染を防ぐ役割があり、自己判断で中断すると細菌が繁殖し、病的な腫れの原因になります。
消炎鎮痛剤には、腫れや痛みを和らげる効果があります。痛みがないからといって服用をやめず、処方された分はすべて飲み切ってください。

患部を冷やす際は冷やしすぎない

患部の冷却は腫れの抑制に有効ですが、冷やしすぎは逆効果になるため注意が必要です。氷や保冷剤などを直接肌に当てて長時間冷やすと、血行が悪くなりすぎて傷の治りを妨げる原因になります。
冷やす際は、水で濡らしたタオルやタオルで包んだ保冷剤などを、頬の外側から優しく当てましょう。患部の血流を適度に保ちながら炎症を鎮めることが、効果的なケアのポイントです。

飲酒・喫煙・激しい運動は控える

術後は、血行を過度に促進したり、傷の治りを妨げたりする行為は控える必要があります。飲酒や激しい運動、長時間の入浴などは血流を良くするため、腫れや痛みを悪化させる可能性があります。また、喫煙は血管を収縮させて血行を悪くし、傷の治りを遅らせるだけでなく感染リスクも高まります。少なくとも術後1週間程度は、これらの習慣は控えましょう。

手術した部分への刺激は避ける

手術したデリケートな部分は、なるべく刺激を与えず安静を保つことが大切です。硬い歯ブラシで強く磨いたり、舌や指で頻繁に触ったりすると、傷口が開いて再出血や感染の原因になりかねません。
食事の際も、手術した側とは反対側で噛み、おかゆやスープ、豆腐といった柔らかく刺激の少ないものを選びましょう。患部を保護することが、スムーズな回復につながります。

口内を清潔に保って感染を予防する

口内を清潔に保つことは、細菌の繁殖を抑え、感染予防に不可欠です。ただし、手術当日は激しいぶくぶくうがいを避け、優しく口をゆすぐ程度に留めてください。
翌日以降は、手術部位を避けながら他の歯を丁寧にブラッシングします。殺菌成分の入った刺激の少ない洗口剤の使用も効果的です。適切なオーラルケアの継続が、病的な腫れのリスクを減らします。

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歯科医院でできるインプラント手術後の腫れを最小限に抑える方法

歯科医院でできるインプラント手術後の腫れを最小限に抑える方法は、以下のとおりです。

  • CT・シミュレーションで精密な術前計画を立てる
  • 経験豊富な医師が組織を傷つけないよう丁寧に執刀する
  • サージカルガイドを用いて正確・安全に手術する
  • 歯茎の切開を最小限に抑える低侵襲な手術法を選ぶ
  • 腫れや痛みを緩和する静脈内鎮静法を活用する
  • 徹底した衛生管理と術後フォローで感染を防ぐ

ひとつずつ解説します。

CT・シミュレーションで精密な術前計画を立てる

事前に歯科用CT撮影やシミュレーションソフトを活用すると、手術による組織へのダメージを最小限に抑えられます。CTでは、顎の骨の厚みや硬さ、神経・血管の位置を3次元的に正確に把握できます。
この詳細なデータをもとに、コンピューター上でインプラントの埋入位置や角度、深さのシミュレーションが可能です。精密な術前計画が、無駄な切開や骨の切削を避け、安全で低侵襲な手術を実現させます。

経験豊富な医師が組織を傷つけないよう丁寧に執刀する

インプラント治療の経験豊富な医師による手術は、術後の腫れが少ない傾向にあります。熟練した医師は解剖学的な知識が豊富で、組織を傷つけないよう丁寧に執刀する技術を持っています。
歯茎の切開や骨の形成、縫合といった一連の操作を、必要最小限の侵襲でスムーズにおこなうことが可能です。結果として手術時間が短縮され、患者様の体への負担も軽減されるため、術後の腫れや痛みが抑えられます。

サージカルガイドを用いて正確・安全に手術する

サージカルガイドという手術用のマウスピース装置を用いると、手術の精度と安全性が高まり、組織へのダメージを減らせます。
サージカルガイドは、術前シミュレーションで計画した通りにインプラントを埋入できるよう、ドリルを導くためのものです。フリーハンドの手術に比べて誤差が少なくなり、神経や血管などを傷つけるリスクを大幅に低減できます。
計画通り正確な手術がおこなわれるため、余計な侵襲がなく腫れも最小限に抑えられます。

歯茎の切開を最小限に抑える低侵襲な手術法を選ぶ

フラップレス手術のように、歯茎の切開範囲を最小限に抑える低侵襲な手術法を選択することも、術後の腫れ抑制に有効です。従来法では歯茎を大きく切開していましたが、フラップレス手術では歯茎に小さな穴を開けるだけでインプラントを埋入します。
歯茎の切開や剥離がほとんどないため、手術による出血や術後の腫れ、痛みを大幅に軽減できるのが主なメリットです。体への負担が少ない手術法を選ぶことで、回復期間の短縮も期待できます。

腫れや痛みを緩和する静脈内鎮静法を活用する

手術への不安や恐怖心が強い方には、静脈内鎮静法の活用も腫れの軽減につながります。この方法は、点滴で鎮静剤を投与し、うたた寝をしているようなリラックスした状態で手術を受けられる麻酔法です。
精神的なストレスが緩和されるだけでなく、血圧や脈拍が安定して手術中の出血量が抑えられます。その結果、手術後の腫れや痛みも緩和される傾向にあります。

徹底した衛生管理と術後フォローで感染を防ぐ

細菌感染による病的な腫れを防ぐには、歯科医院における徹底した衛生管理と術後フォロー体制が不可欠です。手術に使用する器具は完全に滅菌・消毒され、清潔な専用の手術室で処置がおこなわれることが大前提です。
また術後も、傷口の消毒や抜糸、経過観察などを適切におこなうことが感染予防につながります。医院全体の感染対策と手厚い術後フォローが、合併症リスクを最小限に抑えます。

インプラントの腫れ以外に注意すべきこと

インプラントの腫れ以外に注意すべきことは、以下の5つです。

  • 痛み止めを飲んでも痛みが引かない・強くなる
  • ガーゼで圧迫しても鮮血が止まらない
  • 麻酔が切れた後も唇や顎の痺れが続く
  • 傷口から膿が出るまたはきつい臭いがする
  • 指で触るとインプラントが明らかにぐらつく
  • 【上顎の場合】鼻血や鼻づまりなどの症状が続く

ひとつずつ解説します。

痛み止めを飲んでも痛みが引かない・強くなる

処方された痛み止めが効かないほどの強い痛みや、一度治まった痛みが日を追うごとに強くなる場合は注意が必要です。通常、術後の痛みは2〜3日をピークに和らぎますが、痛みが継続・増悪する場合は、細菌感染やインプラントによる神経の圧迫などが考えられます。
このような状態は、放置せずに速やかな対処が求められます。

ガーゼで圧迫しても鮮血が止まらない

術後、唾液に血が混じる程度のにじむ出血はしばらく続きますが、心配ありません。しかし、清潔なガーゼを30分ほどしっかり噛んでも鮮血が止まらない場合は異常なサインです。
手術時に、比較的太い血管を傷つけた可能性が考えられます。多量の出血は傷の治りを妨げるだけでなく、貧血などのリスクもあるため、すぐに歯科医院へ連絡して指示を仰いでください。

麻酔が切れた後も唇や顎の痺れが続く

手術の局所麻酔は通常2〜3時間で切れますが、翌日になっても唇や顎、舌などに痺れや麻痺が残っている場合、インプラントが神経を圧迫または損傷している場合もあります。
とくに下顎のインプラント手術では、太い神経(下歯槽神経)の近くを処置するため、こうした偶発症のリスクはゼロではありません。
もし感覚の異常が続くなら、神経の回復を促す治療が必要になることもあるため、すぐに相談しましょう。

傷口から膿が出るまたはきつい臭いがする

傷口から黄色や白色の膿が出たり、口内にきつい臭いを感じたりするのは、細菌感染を起こしている明確なサインです。健康な傷口は感染防御機能が働いていますが、何らかの原因で細菌が繁殖すると炎症が強くなり膿が溜まります。
天然歯でいうと、歯周病にあたる「インプラント周囲炎」を発症しているサインです。インプラント周囲炎は、インプラントを支える顎の骨を溶かしてしまう病気で、インプラント脱落の最大の原因となります。早急に抗生物質の投与や傷口の洗浄が必要です。

指で触るとインプラントが明らかにぐらつく

手術で埋め込んだインプラントは、数ヶ月かけて骨と結合しますが、初期段階でもある程度固定されているのが正常です。もし指や舌で触ったときにインプラントが明らかにぐらつく場合、骨とうまく結合していない(オッセオインテグレーション不全)可能性があります。
この状態の放置による改善は見込めず、再手術が必要になることが多いため、気づいた時点ですぐに歯科医師に伝えることが重要です。

【上顎の場合】鼻血や鼻づまりなどの症状が続く

上顎の奥歯にインプラントを入れたあと、鼻血や鼻づまり、頬の痛みといった鼻の症状が続く場合は注意が必要です。上顎の骨の上には、上顎洞という鼻に通じる大きな空洞があります。
手術によってこの上顎洞の粘膜が傷ついたり、インプラントが突き抜けたりすると、上顎洞炎(蓄膿症)を引き起こす場合もあります。このような副鼻腔の症状が見られる場合は、歯科だけでなく耳鼻咽喉科との連携が必要になるため注意しましょう。

インプラント後の腫れですぐに歯科医院に相談すべきサイン

インプラント後の腫れは、自己判断せず速やかに歯科医院へ相談すべき危険なサインがあります。それは、通常の治癒期間である1〜2週間を過ぎても腫れが引かない、むしろ悪化している場合です。
また、我慢できないほどの強い痛みや発熱、排膿など他の症状を伴う場合も同様です。これらのケースでは何らかのトラブルが発生している可能性が高いため、ためらわずに受診してください。

まとめ

インプラント治療後の腫れは、多くの場合、手術に対する正常な治癒反応であり、過度に心配する必要はありません。しかし、腫れを最小限に抑え、回復を早めるには、処方薬の服用や患部の冷却、禁煙・禁酒といった正しいセルフケアが不可欠です。
ただし、最適な治療計画は人それぞれ異なるため、専門医と十分に相談して検討するのがおすすめです。
当院では、経験豊富な医師によってインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニック港南台へお気軽にご相談ください。 港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会