インプラント治療のリスクとは?リスクに対する考え方と対処法を紹介

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「インプラント治療のリスクとは?」「インプラント治療のリスクに対する対処法が知りたい」「インプラント治療とほかの治療法の違いが知りたい」と思っていませんか?
歯が抜けてインプラント治療を検討しているものの、治療のリスクが不安で踏み切れないとお悩みなのではないでしょうか。インプラント治療は、手術中や治療計画、全身疾患や口腔状態、メインテナンスや経年変化など、段階におけるリスクが存在します。
本記事では、「インプラント治療のリスクやリスクに対する考え方・対処法」を紹介します。インプラントを成功に導くクリニックの選び方まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

目次

インプラント治療のリスク

インプラント治療のリスクは、以下のシーン別に異なります。

  • 手術中・治療計画におけるリスク
  • 全身疾患や口腔状態によるリスク
  • メインテナンスや経年変化によるリスク

それぞれ解説します。

手術中・治療計画におけるリスク

手術中・治療計画におけるリスクは、以下の4つです。

  • 不十分な検査・治療計画によって失敗する
  • 医師の経験不足が神経・血管を損傷させる
  • 不適切な位置への埋入が審美・機能障害を引き起こす
  • 衛生管理不足が院内感染を招く

ひとつずつ解説します。

不十分な検査・治療計画によって失敗する

CTスキャンを用いた精密な検査と正確な治療計画は、インプラント成功の基盤です。たとえば、顎の骨の量や質、神経・血管の位置を正確に把握しない手術は、重大な問題を引き起こします。
もし事前のシミュレーションが不十分な場合、インプラントの結合不全や早期脱落を招きやすいです。再手術が必要になり、患者様の負担が増加してしまいます。そのため、安全で確実な治療の実現には、治療前の丁寧な診査診断が不可欠です。

医師の経験不足が神経・血管を損傷させる

インプラント手術は、医師の高度な技術と経験が必要です。顎の骨の内部には、下歯槽神経や血管といった重要な組織が通っています。
解剖学的な知識や手術経験の不足は、重要な組織を誤って損傷させる危険を高めやすいです。神経損傷は、唇や顎に麻痺の後遺症を残す場合もあります。医療過誤を避けるためには、信頼できる医師選びが重要な対策です。

不適切な位置への埋入が審美・機能障害を引き起こす

インプラントを埋め込む位置や角度が、審美性と機能性に大きく影響します。そのため、埋入位置がわずかにずれるだけで見た目が不自然になりやすいです。
また、噛み合わせに異常が生じ、食事や発音に支障をきたす機能障害を引き起こす場合もあります。
周囲の歯や歯茎との調和を保つためには、ミリ単位の精度が求められます。審美的かつ機能的に優れた結果を得るには、正確な埋入技術が欠かせません。

衛生管理不足が院内感染を招く

インプラント手術では歯茎を切開するため、細菌感染のリスクが常に伴います。そのため、徹底した衛生管理は、安全な外科手術の基本です。
もし手術室の清浄度や使用器具の滅菌が不十分な場合、傷口から細菌が侵入し院内感染を引き起こしやすいです。また、院内感染はインプラントの失敗に加え、全身の健康に影響をおよぼす危険もあります。
インプラント手術による感染症を防ぐためには、クリニックの衛生管理体制の確認が重要です。

全身疾患や口腔状態によるリスク

全身疾患や口腔状態によるリスクは、以下の4つです。

  • 歯周病や喫煙がインプラントの結合を妨げる
  • 糖尿病・骨粗しょう症など全身疾患が影響する
  • 金属アレルギーが炎症や脱落を引き起こす
  • 噛み合わせや歯ぎしりでインプラントが破損・脱落する

それぞれ解説します。

歯周病や喫煙がインプラントの結合を妨げる

歯周病や喫煙習慣は、インプラントと骨の結合を阻害する要因です。もし歯周病菌が存在すると、インプラント周囲の組織に炎症を引き起こし、骨との結合を妨げます。
また、喫煙は血管を収縮させ血行を悪化させ、傷の治りを遅延させやすい原因です。
インプラントが骨にしっかり定着するためには、良好な口内環境と健康的な生活習慣が求められます。治療開始前の歯周病治療や禁煙が、インプラント治療成功への近道です。

糖尿病・骨粗しょう症など全身疾患が影響する

全身の健康状態は、インプラント治療の結果に深く関わります。
たとえば、糖尿病患者は免疫力が低下し、手術後の感染リスクが高まりやすいです。また、骨粗しょう症の治療薬を服用している場合、骨の代謝に影響し、結合不全や顎骨壊死のリスクが指摘されています。
持病がある場合は、治療前に必ず主治医と歯科医師に相談し、連携した治療が必要です。

金属アレルギーが炎症や脱落を引き起こす

本来、インプラントの素材であるチタンは金属アレルギーが起こりにくい素材ですが、ごく稀にチタンへアレルギー反応を示す方もいます。
アレルギー反応は、インプラント周囲の歯茎に炎症を生じさせ、最悪の場合はインプラントを脱落させます。しかし、過去に金属でかぶれた経験がありアレルギーが心配な方は、事前の検査も可能です。

噛み合わせや歯ぎしりでインプラントが破損・脱落する

インプラントには、天然歯にある「歯根膜」のクッション機能がありません。そのため、噛み合わせの力や歯ぎしりの過度な負担が直接かかりやすいです。
強い力が長期的に加わると、上部構造(人工歯)の欠損やインプラント本体の破損につながります。もし就寝中の歯ぎしりを指摘された方は、専用マウスピースの作成でインプラントを保護する必要があるでしょう。

メインテナンスや経年変化によるリスク

メインテナンスや経年変化によるリスクは、以下の3つです。

  • インプラント周囲炎を発症する
  • 加齢で口腔環境が変化してインプラントに影響がおよぶ
  • インプラント本体が経年劣化や破損をきたす

ひとつずつ解説します。

インプラント周囲炎を発症する

インプラント周囲炎は、インプラントを失う最大の原因となる病気です。歯周病と同様で、プラーク(歯垢)内の細菌が原因で発症します。
しかし、天然歯と違い自覚症状が出にくく、気づかないうちに進行しやすいです。もし進行するとインプラントを支える骨が溶け、最終的にインプラントが抜け落ちてしまいます。
そのため、インプラント周囲炎の予防には、日々の丁寧な歯磨きと定期検診が欠かせません。

加齢で口腔環境が変化してインプラントに影響がおよぶ

口内環境は、加齢に伴い歯茎が下がったり、唾液の分泌量が減少したりします。もし隣の歯が虫歯や歯周病で抜けると、全体の噛み合わせのバランスが変わりやすいです。
口内環境の変化は、インプラントに予期せぬ負担をかける場合もあります。長期的にインプラントを使い続けるには、定期検診で口内全体の変化をチェックし、調整することが大切です。

インプラント本体が経年劣化や破損をきたす

インプラントも人工物であるため、経年劣化や破損のリスクはゼロではありません。たとえば、噛む役割を担う上部構造(人工歯)は、長年の使用で摩耗・欠損しやすいです。
インプラント本体(フィクスチャー)の破損は稀ですが、強い衝撃で起こる場合もあります。万一のトラブルに備え、治療を受けるクリニックの保証制度を確認しておくのが重要です。また、保証期間や内容は、安心して治療を受けるための判断材料になります。

コラム

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なんらかの理由で歯を失ってしまった方にとってインプラント治療は有効な方法です。
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インプラントのリスクに対する考え方と対処法

インプラントのリスクに対する考え方と対処法は、以下の4つです。

  • リスクを正しく理解し冷静に判断する
  • 信頼できるクリニックを選ぶ
  • 日常的なケアを怠らない
  • 保証制度を確認しておく

それぞれ解説します。

リスクを正しく理解し冷静に判断する

インプラント治療の検討では、リスクの正しい理解が重要です。たとえば、ネット情報や他人の体験談に一喜一憂する必要はありません。
また、歯科医師からリスクの内容や発生確率、対処法について客観的な説明を受けましょう。ご自身の価値観やライフスタイルに照らし合わせ、本当に必要な治療か判断が求められます。治療におけるリスクとメリットを天秤にかけ、納得して治療を選択する姿勢が大切です。

信頼できるクリニックを選ぶ

インプラント治療のリスクの多くは、信頼できるクリニック選びで軽減できます。歯科医師の経験や専門性、CTなどの設備や徹底した衛生管理は、安全な治療の土台です。
丁寧な説明で患者の不安に寄り添い、透明性のある費用体系を提示する姿勢も重要です。クリニック選びは、治療の成否を分ける要素となります。複数のクリニックで相談し、ご自身が納得できる場所を見つけましょう。

日常的なケアを怠らない

治療後のインプラントを長持ちさせるポイントは、患者自身の毎日のセルフケアです。インプラントは虫歯になりませんが、歯周病と同様のインプラント周囲炎になります。
たとえば、インプラント専用の歯ブラシやフロスを使い、境目を丁寧に清掃する必要があります。もしセルフケアで除去できない汚れを落とすには、歯科医院での定期メンテナンスも欠かせません。インプラント治療の成功は、自身の協力があって初めて成り立ちます。

保証制度を確認しておく

万一のトラブルに備え、クリニックの保証制度の事前確認は安心材料になります。
インプラント治療は自由診療で、保証内容はクリニックによってさまざまです。保証対象のトラブル(破損、脱落など)や保証期間、費用負担の有無を詳しく確認しましょう。
書面で保証内容を提示してもらうと、治療後のトラブル防止につながります。長期的な安心を得るには、アフターフォロー体制の確認が必須です。

インプラント治療ができないケースもある

インプラント治療は、すべての方に適応できるわけではありません。全身の健康状態や顎の骨の状態により、治療が困難な場合もあります。
また、重度の糖尿病や心疾患がある方、顎の骨が極端に少ない方は適用外となるケースもあります。そのほか、成長期の若年者は、顎の成長が止まるまでは治療ができません。まず歯科医師に相談し、自身がインプラント治療を受けられる状態か診断してもらうのが重要です。

コラム

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失った歯を取り戻す方法として有効なインプラントですが、「奥歯のインプラント治療はできない、難しい」といわれることがあります。実際に奥歯のインプラント治療はリスクが高く、お口の状態によってはおすすめできないことも。[…]

インプラント治療以外の治療法(入れ歯・ブリッジ)

歯を失った場合の選択肢は、インプラントだけではありません。従来からの治療法に、「部分入れ歯」や「ブリッジ」があります。部分入れ歯は取り外し式で比較的安価ですが、違和感や見た目の問題が生じます。
また、ブリッジは両隣の健康な歯を削り土台にするため、健康な歯に負担をかけやすいです。各治療法のメリット・デメリットを理解し、自身の希望や口内状況に合わせて最適な治療法を選ぶようにしましょう。

インプラントを成功に導くクリニックの選び方

インプラントを成功に導くクリニックの選び方は、以下の5つです。

  • CT・衛生管理など、安全な治療環境が整っているか
  • 医師の経験値や専門性は豊富か
  • 納得できるまで丁寧な説明(インフォームドコンセント)があるか
  • 費用体系は分かりやすく透明性があるか
  • 長期的に頼れるアフターケアと保証制度があるか

ひとつずつ解説します。

CT・衛生管理など、安全な治療環境が整っているか

安全な治療環境は、良質なクリニックの必須条件です。たとえば、顎の骨や神経の状態を3次元で正確に把握できる歯科用CTは、安全な手術計画に不可欠です。
また、外科手術をおこなうため、手術室の衛生管理や器具の滅菌の徹底も重要です。できる限り、設備の見学や歯科医院の公式ホームページでの確認をおすすめします。

医師の経験値や専門性は豊富か

治療の質は、執刀医のスキルに大きく依存しやすいです。具体的には、インプラント治療の症例数や経験年数は、技術力を測るひとつの指標となります。
また、日本口腔インプラント学会などの専門医や指導医の資格保有も、判断材料になります。とくに専門資格は、一定水準以上の知識と技術の証明です。医師の経歴や資格を、歯科医院の公式ホームページや、カウンセリングで直接確認してください。

納得できるまで丁寧な説明(インフォームドコンセント)があるか

患者とのコミュニケーションを重視する姿勢は、信頼できる医師の証です。
信頼できる医師は、患者からの質問に真摯に答え、不安を取り除こうと努めます。治療のメリットだけでなく、リスクやデメリット、ほかの治療法との比較を丁寧に説明してくれるか確認しましょう。
たとえば、専門用語を多用せず、分かりやすい言葉で説明する医師であれば、安心して治療を任せられます。インフォームドコンセント(説明と同意)を徹底するクリニックを選びましょう。

費用体系は分かりやすく透明性があるか

費用のトラブルを避けるためには、明確な料金体系のクリニックを選びましょう。なるべく、カウンセリング段階で治療総額を明記した見積書の提示を求めるようにしてください。
また、提示額に検査料や手術料、上部構造の費用がすべて含まれるかチェックも大切です。さらに、追加費用が発生する可能性や条件も、事前に説明を受けましょう。

長期的に頼れるアフターケアと保証制度があるか

インプラントは、治療後の長期的なメンテナンスが不可欠です。たとえば、定期検診の案内など、治療後のアフターケアに力を入れるクリニックを選びましょう。
また、万一の破損や脱落に備えた保証制度の有無も重要です。とくに、保証期間や保証内容、費用負担を書面での確認が推奨されます。治療後も長く付き合える、信頼関係を築けるクリニックを見つけることが成功のポイントです。

まとめ

インプラント治療のリスクは、手術中や治療計画、全身疾患や口腔状態、メインテナンスや経年変化などの段階に応じて存在します。
しかし、最適な治療計画や対処法も人それぞれ異なるため、歯科医師と十分に相談して検討するのがおすすめです。
当院では、経験豊富な医師によってインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニック港南台へお気軽にご相談ください。 港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会