奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由とは?

奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由とは?
  • HOME
  • コラム
  • 奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由とは?

失った歯を取り戻す方法として有効なインプラントですが、「奥歯のインプラント治療はできない、難しい」といわれることがあります。実際に奥歯のインプラント治療はリスクが高く、お口の状態によってはおすすめできないことも。
そこでこの記事では奥歯のインプラント治療ができないといわれている理由について解説します。この記事を読むことで、上顎と下顎それぞれのインプラント治療ができない理由を理解できます。
奥歯のインプラントを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

奥歯のインプラント治療はできないのか

奥歯だからインプラント治療が必ずできないわけではありません。
お口の状態は個人差がありますので、治療ができる方もいればできない方もいます。また、上顎であっても下顎であってもそれぞれの部位によってリスクが存在しますし、リスクによっては治療の難易度が上がります。
リスクが解消されない状態では治療を進めると判断する医師は少なく、自身が治療を進めたい場合でも快諾してくれないケースもあるでしょう。ただし、歯科医院によってはできる治療とできない治療があります。インプラントの治療方法は複数ありますので、自身のお口の状態に合わせて治療方法を変えるのは有効です。
インプラントの治療方法についても解説します。

上顎の奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由

上顎の奥歯のインプラント治療が難しいといわれる理由は、そもそも上顎の奥歯部分の骨が薄いためです。インプラントを埋め込むのに必要な厚さがないという方が多く、治療の難易度が上がります。上顎の奥歯部分の骨が薄いのはサイナスと呼ばれる空洞が原因です。サイナスとは上顎洞や副鼻腔とも呼ばれ、鼻の通り道です。
このサイナスの内部はシュナイダー膜と呼ばれる粘膜で覆われています。この粘膜を傷つけてしまうと上顎洞炎と呼ばれる炎症が起こり、歯の痛みや頭痛、目の奥の痛み、鼻水などの症状が現れます。上顎洞炎を引き起こすリスクも、上顎の奥歯の治療が難しいといわれる理由の一つです。

上顎の骨が薄くなる原因

インプラントとは人工の歯の根、「人工歯根」を指します。英語では「implant」と表され、「植え付ける」や「差し込む」と直訳されます。この人工歯根に義歯を被せることで、本当の歯のように噛めるようになりますし、見た目も本当の歯と変わりません。
このインプラントは直径が4mmほどあり、きちんと埋め込むためにはある程度の骨の厚みが必要になります。「顎の骨が薄い」それだけでインプラント治療を断られてしまうケースもあるでしょう。
では、なぜ顎の骨が薄くなってしまうのか、以下3つの原因が考えられます。

  • ブリッジや欠損歯の放置
  • 歯周病の進行
  • 合わない入れ歯の使用

ブリッジや欠損歯の放置

骨が薄くなっているということは、骨が痩せているということです。骨を強くするためには刺激を与え、筋肉のように鍛える必要があり、骨を使わないまま放置しているとどんどん痩せてしまうんです。
骨が痩せていく現象を「骨呼吸」と呼び、インプラント治療をしたいと考えている方にとっては深刻な状況です。歯を失っても他の歯で噛めるから大丈夫ではなく、放置すると骨呼吸が進行します。
また、ブリッジの場合も同じで骨呼吸が進行します。ブリッジは見た目は歯があるように見えていますが、実際には歯がありません。欠損歯の状態と同じで、ブリッジしている歯の下の骨は刺激が足りず、骨が痩せて細くなります。
日常の噛む行為は顎の骨を鍛えるために必要です。

歯周病の進行

お口のトラブルは虫歯だけではありません。歯周病と呼ばれる炎症性疾患もお口を深刻な状態にします。
歯周病は細菌に感染すると起きる疾患で、歯茎や歯を支えている骨を溶かしてしまう病気です。初期の段階では痛みがないため、気づかずに放置してしまう方も少なくありません。予防のためには歯と歯茎の間の隙間の清掃をきちんとおこなう必要があります。
この歯周病を放置すると歯を支えている骨が溶けてしまうため、インプラント治療に必要な骨の厚みを失います。歯周病はインプラントの治療ができないだけでなく、今ある歯も抜け落ちてしまうほど骨を溶かす恐れがあるため、予防と治療が不可欠です。

合わない入れ歯の使用

使用している入れ歯が合わないまま放置をすると、骨が痩せてしまいます。
使用している入れ歯が合わなくなるのは珍しい現象ではありません。長年入れ歯を使用し、入れ歯そのものが経年劣化で古くなってしまうと、お口の中の変化がなくても入れ歯が合わない現象が起こります。
また、入れ歯を支えている歯が虫歯になったり、歯周病の進行で歯がぐらついたりするなどお口の中での変化も入れ歯が合わなくなる原因の一つです。
問題は「入れ歯が合わない状態の放置」です。合わない入れ歯を使用し続けると、残っている歯の寿命を縮めてしまったり、お口の中を傷つけてしまう可能性があります。また、過剰な刺激が与えられ続けていると骨が痩せてしまいます。合わない入れ歯を使用し続けると、別の歯に普段以上の刺激が与えられ、骨を薄くしてしまう恐れがあります。
入れ歯が合わないと感じたらすぐに歯科医院で相談しましょう。

上顎奥歯のインプラント治療方法

上顎奥歯のインプラント治療はリスクが大きいものの、決して治療ができないわけではありません。上顎奥歯のインプラント治療の方法は大きく分けて4つあります。

  1. ショートインプラント
  2. ソケットリフト
  3. サイナスリフト
  4. GBR

ショートインプラント

ショートインプラントとは、長さが短いインプラントを使用する方法です。通常10mmほどの長さがあるインプラントを使用しますが、ショートインプラントの長さは5〜8mmと短いです。長さが短いため、骨が薄い方でもインプラント治療できる可能性が高くなります。

ソケットリフト

ソケットリフトとは、骨の再生をしてインプラント治療をする方法です。インプラントを埋め込むための穴を骨に開け、そこに骨補填材と呼ばれる骨の代わりとなる素材を流し込み、インプラントを埋め込みます。骨の造成とインプラントの埋め込みが同時におこなえるため、傷が少なく済む治療方法です。

サイナスリフト

サイナスリフトも骨の再生をしてからインプラント治療をする方法で、骨が非常に薄い場合でも有効な治療法です。サイナスと呼ばれる上顎洞に骨補填材を流し込み、土台となる骨を再生します。

GBR

GBRとは、骨を作る「骨芽細胞」の増殖を促す方法です。骨が薄くなっている部分は「繊維芽細胞」と呼ばれる骨の形成を妨げる細胞が多く存在しています。そこで、骨を増やしたい部分にメンブレンと呼ばれる人工膜をあてがい、骨補填材や自分の骨を詰めて、骨芽細胞で骨の増殖を促します。

下顎奥歯のインプラント治療ができないといわれる理由

下顎の奥歯も、上顎と同様にインプラント治療ができないといわれることがあります。ですが、上顎とは異なり骨が薄いなどの要因ではありません。
下顎の奥歯周辺には神経や血管が多く通っています。長さのあるインプラントを埋め込んでしまうと、神経や血管を傷つけるため、インプラントの長さに制限が出てきます。神経や血管の通っている位置が高い位置にある場合、歯科医院によっては下顎の奥歯のインプラント治療は難しいと判断されるケースがあるのです。また、下顎の奥歯の骨が薄くなっている場合でも神経や血管と近い位置にインプラントを埋め込まなくてはならないため、治療が難しいと判断されます。
神経や血管の位置は自身ではわからないため、歯科医院で検査して発覚します。たとえ、神経や血管の位置でインプラント治療ができないと判断された場合でも方法によっては治療できる場合もあるため、セカンドオピニオンを受診しても良いです。

下顎奥歯のインプラント治療方法

下顎の奥歯のインプラント治療ができないと判断されるのは神経や血管の位置によるケースが多いです。その場合の治療方法としてショートインプラントがあげられます。ショートインプラントであれば一般的なインプラントよりも長さが短いため、神経や血管を傷つけずにインプラントを埋め込めるでしょう。
しかし、骨や歯茎の状態によってはショートインプラントでも治療できないと判断されるケースもあります。まずは歯科医院に相談し、自身のお口の状態と照らし合わせて治療の可否を判断してもらいましょう。

まとめ

奥歯のインプラント治療は部位によってリスクがあり、治療の難易度が上がるため治療できないと判断されるケースがあるでしょう。しかし、インプラントの治療方法は複数ありますので、必ずしもできないわけではありません。
まずは、自身のお口の状態に合わせた治療方法がないか歯科医院に相談してみましょう。また、歯周病や欠損歯のを放置せずに治療したり、合わない入れ歯を使用し続けないなど自分自身でできる事柄はあります。お口の状態に意識を向け、できる治療から進めていきましょう。
当院ではインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニックへお気軽にご相談ください。港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会