2026/01/06

「インプラントにしたいけれど歯周病があると断られるのでは?」
「せっかく高い治療費をかけても歯周病のせいでインプラントが抜け落ちてしまったらどうしよう」
歯周病の方でインプラント治療を検討している方のなかには、上記のようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
歯周病治療をおこなえば、安全にインプラント治療を受けることができます。
そこでこの記事では、歯周病の方がインプラント治療を受けられるのか、歯周病を患ったままインプラント治療を受けるリスク・できない理由を解説します。
歯周病の再発とインプラント周囲炎を防ぐ術後のメンテナンスもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歯周病でもインプラント治療はできる?
歯周病があっても先に歯周病治療を受けて症状を改善させれば、インプラント治療は可能です。
口内に歯周病の原因菌が残っていると、インプラント周囲の骨が溶かされ、抜け落ちてしまう「インプラント周囲炎」のリスクが高まります。そのためまずは、口内環境を整えてから手術へ進むのが基本です。
歯周病を放置したまま手術をおこなうのではなく、まずは歯周病の原因菌を減らして歯茎の状態を安定させることが、インプラントを受ける必須条件となります。
歯周病でインプラント治療を受けるリスク・できない理由

ここでは、歯周病を患ったままインプラント治療を受けるリスクと、インプラント治療ができないとされる理由を4つ解説します。
- インプラント周囲炎の発症リスクが高まる
- 術後の傷口が化膿しやすくインプラントが脱落する原因になる
- 歯周病の原因菌が血管に入り込み全身疾患へ悪影響を及ぼす
- 歯周病で顎骨が溶けておりインプラントを埋入できない
1つずつ見ていきましょう。
インプラント周囲炎の発症リスクが高まる
歯周病のままインプラント治療を受けることで、天然歯の歯周病にあたるインプラント周囲炎になりやすくなります。
インプラントには天然歯のような防御機能がないため、一度感染すると歯周病よりも急速に症状が進行します。インプラント周囲炎は歯茎の腫れや出血から始まり、最終的にはインプラントを支える骨が溶けてしまうのが特徴です。
歯周病の原因菌が多い状態で手術をすると、インプラント周囲炎にかかる確率が上がるため、歯周病がある方はインプラント治療より先に歯周病治療が必要です。
術後の傷口が化膿しやすくインプラントが脱落する原因になる
歯周病がある状態でインプラント手術をすると、切開した傷口が細菌に感染して化膿しやすくなるため、インプラント治療よりも歯周病治療を先におこなう必要があります。
インプラント治療は人工歯根と骨がしっかりと結合して初めて成功といえますが、化膿すると人口歯根と骨の結合が阻害されてしまいます。その結果、土台がグラグラと不安定になり、最悪の場合は埋め込んだインプラントが抜け落ちるケースも珍しくありません。
インプラントを安全に定着させるには、歯周病治療による事前の口腔内ケアが必要です。
歯周病の原因菌が血管に入り込み全身疾患へ悪影響を及ぼす
歯周病を患った状態でインプラント治療を始めると、手術中の傷口から歯周病の原因菌が血管内に侵入し、全身の健康にダメージを与えるリスクがあります。血液に乗って運ばれた細菌は、糖尿病を悪化させたり、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こしたりする要因になるため注意が必要です。
インプラント治療は外科手術をともなうため、単に歯の問題だけにとどまらず、全身の安全を守るためにも歯周病のコントロールが欠かせません。
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歯周病で顎骨が溶けておりインプラントを埋入できない
重度の歯周病によって顎骨が溶かされている場合、インプラントを支えるための骨の厚みや高さが足りず、そのままでは手術ができません。インプラント体は骨に埋め込んで固定するため、十分な骨量がなければ突き抜けたりグラついたりしてしまうのです。
ただし、減ってしまった骨を増やす骨造成という特別な治療をおこなえば、骨が少ない方でもインプラントが可能になる場合があります。重度の歯周病を患っている方で顎骨の厚みや高さが不十分な方は、歯周病治療を最優先におこない、インプラント治療では骨造成を検討しましょう。
歯周病治療を先に完了してからのインプラント治療は可能

前述したように、歯周病にかかっていても、先に歯周病治療を受けて口腔内を健康な状態に戻せば、インプラント治療は問題なく受けられます。
インプラントを長持ちさせるためには、土台となる歯茎や骨が丈夫でなければなりません。歯周病菌が残ったまま手術をおこなうと、細菌感染を起こしてせっかく入れたインプラントが抜け落ちるリスクがあります。まずは歯科医師と相談しながら歯周病を治し、万全の状態で手術に臨むのが安全な方法です。
以下では、歯周病治療とインプラント治療にかかる費用や治療期間を解説します。
歯周病治療とインプラント治療にかかる費用目安
歯周病治療とインプラント治療にかかる費用の総額は、インプラントを入れる本数や歯周病の進行具合によって異なります。
一般的な歯周病治療は保険適用でおこなえますが、インプラント手術や特殊な骨の再生治療は全額自己負担となるのが基本です。そのため、トータルで数十万円から100万円を超えるケースも少なくありません。
あとで困らないように、治療開始前に必ず詳細な見積もりをもらい、支払い方法や内訳を確認しておきましょう。
歯周病治療・外科治療の費用
保険適用の基本的な歯周病治療である場合、患者さんの負担額は3,000円から2万円程度で済みます。歯石除去や歯の根元の汚れを取る処置は保険の範囲内でおこなえますが、重度の歯周病で失われた骨を再生する歯周組織再生療法は自費診療となるケースが多いです。
自費診療で歯周病を治療する際の費用は5万円から20万円ほどかかるため、まずはカウンセリングの際に保険でどこまで治せるか歯科医師に相談し、歯周病の進行具合や費用を確認しておきましょう。
インプラント治療と骨造成の費用
インプラント本体は1本あたり30万円から50万円程度、骨を増やす骨造成は別途5万円から30万円ほどかかります。歯周病で顎骨が溶けている場合、土台を補強する手術が必要になるため、通常よりも費用が高くなるのが一般的です。
使用する材料や手術をおこなう範囲によって金額は変動するため、カウンセリングの際にトータルの費用にいくらかかるかの確認が必要です。目先の安さだけでなく、術後の保証やメンテナンス費用も含めて総合的に判断するようにしましょう。
コラム

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歯周病治療からインプラント埋入までの具体的な流れ
以下が、歯周病治療からインプラント埋入までの具体的な流れです。
- CTやレントゲンによる精密検査で歯周病の進行度を確認する
- スケーリングをはじめとする基本治療で歯周病の原因菌を除去する
- インプラント埋入手術をおこなう(骨造成が必要な場合は同時に実施)
- 骨と結合したあとに人工歯を装着しメンテナンスを開始する
歯周病がある場合は、いきなり手術をせずに、まずは歯茎の治療を最優先で進めるのが基本です。歯周病による炎症が治まったのを歯科医師が確認してから、ようやくインプラントの手術へと進むのが安全な治療の流れになります。
歯周病治療からインプラント治療完了までにかかる期間
歯周病治療からインプラント完了までは、「歯周病を治す期間」と「インプラントが骨と結合する期間」を合わせた長期的なスケジュールが必要です。以下で歯周病治療やインプラント治療にかかる期間をご紹介します。
軽度~重度の歯周病治療にかかる期間
歯周病治療にかかる期間は進行度によって異なり、軽度の場合は約1~2カ月、重度の場合は半年以上かかる場合もあります。
軽度のうちは歯石取りやクリーニングで改善しますが、重度になると外科手術が必要になるため、治療期間が大幅に延びてしまうのです。また、歯を抜いた場合は傷口が治るのを待つ時間も必要です。
インプラントを入れる土台となる歯茎や骨を健康な状態に戻すには、どうしてもある程度の時間が発生する点を理解しておきましょう。
インプラント埋入から結合までの期間
インプラントを埋め込んでから骨と結合するまでには、一般的に3〜6カ月程度の治癒期間が必要です。骨の硬さや量によって差があり、骨が柔らかい上顎のほうが下顎よりも時間がかかる傾向にあります。
骨を増やす手術もおこなった場合は、さらに数カ月ほど期間が追加されると考えておきましょう。この結合期間を十分に設けると、人工歯を装着したあとも安定して噛めるようになります。
歯周病の再発とインプラント周囲炎を防ぐ術後のメンテナンス

インプラントを長持ちさせるためには、以下の4点を意識し、治療が終わったあとも丁寧なケアを継続してください。
- 約3カ月~半年に一度は歯科医院で専門的なクリーニングを受ける
- 歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使ったセルフケアを徹底する
- インプラント周囲炎の初期サインを見逃さない
- 禁煙や食生活の改善を継続する
1つずつ解説します。
約3カ月~半年に一度は歯科医院で専門的なクリーニングを受ける
インプラント周囲炎を予防するためには、自分でおこなう歯磨きだけでは落としきれない汚れを除去できるよう、定期的にプロのクリーニングを受けてください。
歯周ポケットの奥深くに入り込んだプラーク(歯垢)や硬くなった歯石は、歯科医院の専用器具を使わないときれいには取れません。また、歯科医院での定期メンテナンスでは、担当医が噛み合わせのバランスやネジの緩みもチェックしてくれるため、トラブルの早期発見にもつながります。
お口の状態によりますが、目安として約3カ月〜半年に一度のペースで通院するのが理想的です。
歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使ったセルフケアを徹底する
インプラント周囲炎を予防するために、毎日の歯磨きでは、普通の歯ブラシに加えて歯間ブラシやデンタルフロスを併用しましょう。
インプラントの根元は天然の歯よりもくびれている形状をしているため、隙間に汚れが溜まりやすい特徴があります。歯ブラシだけでは汚れの約6割しか落とせないといわれており、残った汚れが炎症の原因になります。就寝前はとくに時間をかけ、鏡を見ながら補助用具を使って隅々まで磨く習慣をつけることが重要です。
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インプラント周囲炎の初期サインを見逃さない
歯茎からの出血や腫れ、膿が出るなどの異変を感じた場合は、痛みがなくてもすぐに歯科医院を受診してください。これらはインプラント周囲炎の初期症状であり、放置するとインプラントを支えている顎骨が急速に溶かされてしまいます。天然の歯と違って神経がないため、自覚症状が出にくく、気づいたときには手遅れになっていることも少なくありません。
「なんとなく違和感がある」というレベルでも、早めに相談するのがインプラントを守るポイントです。
禁煙や食生活の改善を継続する
口腔内の免疫力を下げないために、タバコを控え、栄養バランスの取れた食事を心がけてください。
タバコの成分は血管を収縮させて血流を悪くするため、歯茎の酸素不足を招き、細菌感染のリスクを高めてしまいます。また、甘いものを頻繁に食べるといった乱れた食生活は、糖尿病のリスクを高めて歯周病の原因菌への抵抗力を弱める原因になります。
インプラントと全身の健康はつながっているため、生活習慣全体を見直すことが大切です。
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まとめ
歯周病でもインプラント治療は可能ですが、成功させるためには事前の徹底した歯周病治療と術後のメンテナンスが不可欠です。
不安なまま治療を進めるのではなく、まずは精密検査を受けてご自身の歯周病の進行度や骨の状態を正確に把握し、無理のない治療計画を立てるのが重要です。リスクを正しく理解したうえで信頼できる歯科医師と二人三脚でケアを続けると、健康な歯と変わらない噛み心地を取り戻せます。
決して自己判断せず、歯周病管理に詳しい専門医によく相談して、納得のいく選択をしてください。
当院では、経験豊富な医師によってインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニック港南台へお気軽にご相談ください。港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。
この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎
略歴
2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る
所属学会
アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会