インプラント治療は糖尿病でもできる?治療をおこなうリスクを解説

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「インプラントは糖尿病でもできる?」「糖尿病がインプラント治療におよぼすリスクは?」と思っていませんか?
インプラント治療は、糖尿病の方でも医師と共にしっかり管理されている場合は可能です。しかし、口腔内や身体の健康状態によって治療を断られる場合もあります。
この記事では、「インプラント治療は糖尿病でもできるのかについて、治療をおこなうリスク」を紹介します。インプラント治療前に糖尿病における血糖値をコントロールする方法まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

インプラント治療は糖尿病でもできる?

インプラント治療は、糖尿病の方でも医師と共にしっかり管理されている場合は可能です。しかし、口腔内や身体の健康状態によって治療を断られる場合もあります。

  • 糖尿病とは
  • 糖尿病の症状

まずは、糖尿病についてそれぞれ解説していきます。

糖尿病とは

糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。また、糖尿病には以下の3つがあります。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病

ひとつずつ解説します。

1型糖尿病

1型糖尿病は、自己免疫の異常により膵臓がほとんどインスリンを生産できなくなるタイプです。主に子どもや若年層に多く発症しますが、成人でも発症するケースがあります。
インスリン注射による管理が必要で、日々の血糖コントロールが重要です。治療計画は、歯科医師と相談し、継続的に管理していくことが求められます。

2型糖尿病

2型糖尿病とは、主にインスリンの分泌不足やインスリンの効き目(インスリン抵抗性)が低下することで、血糖値が慢性的に高くなる疾患です。成人に多く見られ、生活習慣や遺伝的要因が発症に深く関わっています。
生活習慣の影響があるため、食事療法や運動療法を組み合わせた治療が欠かせません。状態によっては薬物療法を併用し、合併症予防を目標に治療が必要です。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見される糖代謝異常のことを指します。妊娠中のホルモン変化によりインスリンの働きが悪くなり、一時的に血糖値が高くなる状態です。
多くの場合は出産後に正常化しますが、将来的に糖尿病を発症するリスクが高まるケースもあります。産婦人科医の指示に従い、適切な管理をおこなうことが重要です。

糖尿病の症状

糖尿病の主な症状には多尿、強い喉の渇き、疲労感などがあります。日常生活では夜間に何度もトイレに起きることや水分摂取が増えることも見られます。
これらは血糖コントロールが悪化しているサインであり、放置すると合併症リスクが高まりやすいです。気になる症状があれば、早めに歯科医院へ受診してください。

糖尿病の方がインプラント治療をおこなうリスク

糖尿病の方がインプラント治療をおこなうリスクは、以下の4つです。

  • 細菌の感染リスクがある
  • 傷の治りの遅れと骨結合への影響がある
  • 歯周病を悪化させる場合がある
  • 低血糖になる可能性がある

それぞれ解説します。

細菌の感染リスクがある

糖尿病は免疫機能が低下しやすいため、感染症が起こりやすくなります。糖尿病患者はインプラント周囲炎のリスクが高まる傾向がある一方で、一人ひとりのリスクの程度は異なります。
そのため術前の口腔内管理を徹底し、定期的な歯科受診で早期発見・対処に努めることが重要です。

傷の治りの遅れと骨結合への影響がある

糖尿病の方は、微小血管障害の影響で手術部位への血流が不足しやすく、創傷の治癒が遅延しやすいです。そのため、骨とインプラントの結合が弱まるリスクも高まります。
術後は経過観察を慎重におこない、念入りなケアが求められます。

歯周病を悪化させる場合がある

糖尿病は、歯周病の進行を促進しやすいです。インプラントの安定性を損なう原因となります。
口腔環境を良好に保つことが非常に重要なため、歯周病治療や予防に努めることが求められます。

低血糖になる可能性がある

手術中や術後に血糖管理が不十分だと、めまいや発汗、意識障害をともなう低血糖発作が起こる場合があります。発作時には、個人の意識レベルや症状に応じて適切に対処し、必要に応じて速やかに医療機関に連絡をおこなうことが重要です。
治療前に血糖コントロール計画を綿密に立て、安全確保に努めるのが重要です。

糖尿病の方がインプラント治療を受けるためには?

糖尿病の方がインプラント治療を受けるためには、以下の対応が求められます。

  • 内科主治医と連携して術前検査で全身状態を把握する
  • 口腔内の環境を整える

ひとつずつ解説します。

内科主治医と連携して術前検査で全身状態を把握する

血糖値だけでなく、腎機能や心機能の検査も実施し、全身状態を総合的に評価しましょう。その結果に基づき安全な治療計画を立て、内科医とも情報共有をおこないます。
インプラント治療は、万全の体制で手術に臨むことが重要です。

口腔内の環境を整える

歯周病や虫歯の治療を完了させ、口腔内を衛生的に保つことが不可欠です。歯周ポケットの深さを4mm以下に管理し、出血や炎症を抑えることで感染リスクの軽減につながります。
日常的な口腔ケアの徹底と、定期的な歯科メンテナンスがインプラント治療の成功のカギです。

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一般的にインプラント治療を安全に実施するにはHbA1cを7.0%以下に保つことが目安とされています。
7.5%を超えると合併症や治療失敗のリスクが増す可能性があるため、6.5%以下にコントロールすることが望ましいと考えられています。
血糖管理が不十分な場合は、治療の延期も検討されるため注意が必要です。

インプラント治療前に糖尿病における血糖値をコントロールする方法

インプラント治療前に糖尿病における血糖値をコントロールする方法は、以下の3つです。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

ひとつずつ解説します。

食事療法

糖尿病の一般的な治療法として、食事療法があります。血糖値安定のためには、規則正しい1日3食の食事と糖質の過剰摂取を控えることが基本です。
野菜や全粒穀物を多く取り入れ、食べる順番を工夫することも有効です。栄養士の指導を受けながら食事を考えるなど、無理なく続けられる食生活を目指しましょう。

運動療法

糖尿病の治療における運動療法は、計画的に体を動かす方法を指します。血糖値の改善に役立ち、糖尿病治療の基本的な柱のひとつです。
運動をすることでインスリンの働きを助け、血糖値を効果的にコントロールするためにおこなわれます。

薬物療法

糖尿病の治療における薬物療法とは、食事療法や運動療法だけで十分な血糖コントロールができない場合に、血糖値を改善するために薬を用いる治療法です。主に、2型糖尿病の治療で使われますが、状況に応じて1型糖尿病でもインスリン注射が必要となります。
医師の指示に基づき、インスリンや経口血糖降下薬を適切に使用することで、定期的に効果を評価することが可能です。

まとめ

インプラント治療は、糖尿病の方でも医師と共にしっかり管理されている場合は可能です。しかし、口腔内や身体の健康状態によって治療を断られる場合もあります。
インプラント治療を受けられるかどうかは、専門医と十分に相談のうえ、検討するのがおすすめです。
当院では、経験豊富な医師によってインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニック港南台へお気軽にご相談ください。 港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会