2024/07/04
インプラント治療を検討しているときに、「インプラントは絶対にだめ」と言われた経験がある方もいるでしょう。インプラント治療の知識がない状態で言われてしまうと、なんだか不安になってしまう言葉です。
そこでこの記事では、以下の内容について解説していきます。
- 「インプラントは絶対にだめ」といわれる12の理由
- インプラントのメリット
- インプラントを成功させる3つのポイント
ダメといわれる理由を把握し、自分自身にとって本当にインプラント治療を受けないべきなのか検討してみてください。
「インプラントは絶対にだめ」といわれる12の理由
インプラントは本来、失った歯の機能を取り戻す治療として選ばれることの多い治療法です。にもかかわらず、なぜ「インプラントは絶対にだめ」と言われるのでしょうか。考えられる理由を、以下の12個に分けて解説していきます。
- 顎骨の状態次第で追加の手術が必要だから
- インプラントできない場合があるから
- 手術で神経を傷つけることがあるから
- 禁煙・減煙の必要があるから
- 治療期間が長いから
- 治療費が高いから
- 手術に伴う感染のリスクがあるから
- インプラント周囲炎のリスクがあるから
- 金属アレルギーのリスクがあるから
- 治療後にメンテナンスを徹底する必要があるから
- インプラント脱落による再治療の難易度が高いから
- 「老後が悲惨」といわれているから
これらは、インプラントのリスクに直結するものです。インプラント治療を検討している方は、事前にそのリスクを理解しておく必要があります。それぞれ見ていきましょう。
顎骨の状態次第で追加の手術が必要だから
インプラント治療は人工の歯を装着する治療です。人工の歯を装着するためには、顎の骨にインプラント体と呼ばれる人工の歯根を埋め込む必要があります。これは外科手術にあたる治療ですが、顎の骨の状態では追加で別の手術を受けなければなりません。
インプラント体を埋め込むだけの顎の骨の強さがない場合、骨造成をしなければなりません。骨造成とは文字通り骨を作る手術です。他の部分から骨を採取し、必要な箇所に採取した骨と骨補填材を充填します。充填した骨と骨補填材が骨として再生するのを待つ期間も発生します。
骨造成手術は手術の手間や費用だけでなく、治療期間もその分長くなります。自分の顎の状態は把握できませんからインプラント治療のための検査をしなければ骨造成の必要性はわかりません。これら事項をリスクだと捉え、インプラントをだめと判断する方がいます。
インプラントできない場合があるから
実は全ての方がインプラント治療を受けられるわけではありません。先ほど解説したように顎の骨が極端に弱い方などは骨造成してもできないと判断される可能性があります。ほかにも高血圧の方や糖尿病の方は感染症のリスクがあるとして、治療を断られる方もいます。
これらの事項に当てはまる方が絶対に治療をできないわけではありません。持病があってもきちんと治療を受け、コントロールできる方であれば問題なくインプラント治療を実施できます。
まずは歯科医院で相談し、持病がインプラント治療に与える影響を判断してもらいましょう。
手術で神経を傷つけることがあるから
インプラント体を顎の骨に埋め込む際、歯茎を切開し、インプラント体を埋め込むための穴を開ける手術をおこないます。この手術によりお口の中の血管や神経を傷つけてしまうリスクが発生します。傷つけてしまった血管や神経が細菌に感染し、炎症を起こす可能性もあります。
どのような治療でも一定のリスクは伴いますが、外科手術を必要とするインプラント治療はそのリスクが高い傾向があります。インプラント治療の実績がある歯科医院であってもリスク0の治療はできません。リスクのない治療を求めている方にとってはインプラント治療は選択したくない治療の一つなのです。
禁煙・減煙の必要があるから
インプラント治療は、本来そこにはない人工の歯根と歯を埋め込む治療です。そのため埋め込んだ歯根と骨が結合するのを待つ必要がありますし、手術後の傷の治りも観察しなければなりません。喫煙は血流を低下させ、血管を収縮させる行為です。そのため、インプラント治療後の骨の結合や傷口の修復に悪影響を与えます。
喫煙の習慣がある方でインプラント治療を受けようと思っているのであれば禁煙や減煙を指示されるでしょう。習慣化した喫煙をやめるのは困難だと判断する方もいるでしょう。喫煙は治療後のインプラント周囲炎のリスクも高めるため、治療している間だけ我慢すれば良いわけではありません。タバコを断ち切る気持ちが無ければ治療はおすすめできません。
治療期間が長いから
インプラント治療は、その他の治療と比較して治療期間が長いです。
失った歯の治療法にはインプラント以外にブリッジや入れ歯がありますが、これらの治療期間は3か月ほどです。一方でインプラントの場合の治療期間は4か月〜13か月ほどで、ブリッジや入れ歯に比べると非常に長い治療といえます。
インプラント治療の治療期間が長くなる理由としては、インプラント体と顎の骨が結合するのに時間がかかるためです。治療期間中何回も通院する必要はなく、通院回数としては5〜8回程度です。それでも、1年近く定期的に通院しなければならないため、大変だと感じる方もいます。
ただ、この通院期間はあくまでも目安です。お口の状態により、ブリッジ治療と同じくらいの4か月程度で治療を終える方もいます。その一方で顎の骨が少なく、骨造成の手術が必要になってしまうと1年近くの通院が必要になります。
インプラント治療は治療後もメンテナンスのために通院する必要があります。お口の健康を維持するためには必要な通院ですが、面倒に感じて通院できない方はおすすめできない治療と言えるでしょう。
治療費が高いから
インプラントと聞いて思い浮かぶのは治療費の高さではないでしょうか。保険適用外の治療になるため、すべて自己負担で支払う必要があります。インプラント体や人工歯などの材料代も高額で、人件費や検査費用もかかるため、一般的な治療よりも高額になってしまいます。
ただ、高額だからこその美しさや耐久性、使用感の高さもあります。値段が高いと感じるかコストパフォーマンスが高いと感じるかは人それぞれでしょう。
また、インプラント治療は医療費控除の対象です。こういった制度を利用し、負担を抑える方法もあります。
コラム

2023/12/13
手術に伴う感染のリスクがあるから
インプラント治療に必要な外科手術は感染リスクがあります。歯茎を切開した際に細菌が入り込むと細菌感染するでしょう。
感染してしまう理由としては手術時の衛生環境の悪さや患者の体質、健康状態によるものが多いです。衛生環境に関しては、きちんと衛生管理されている歯科医院を選べば防げます。また、健康状態に関しても歯科医師と相談し、持病がある場合はかかりつけ医との連携ができればリスクを抑えられます。
また、感染リスクは手術中だけでなく術後も気をつけなければなりません。歯科医師の指示に従い、お口のケアと処方された抗生物質の服用をきちんとおこないましょう。
インプラント周囲炎のリスクがあるから
インプラント治療には、「インプラント周囲炎」のリスクがあります。これは、インプラントの周りが歯周病菌に感染し、歯茎が腫れたり、支えている顎の骨が溶けたりする病気です。
天然の歯と違い、インプラントには神経がありません。また炎症に対する防御反応も弱いため、自覚症状が出にくいまま深刻な状態まで進行します。
メンテナンスを怠ると発症しやすく、最悪の場合、せっかく入れたインプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。
金属アレルギーのリスクがあるから
金属アレルギーの方はインプラント治療において注意が必要です。人工歯根として埋め込むインプラント体はチタンであるケースがほとんどです。チタンは金属アレルギー反応ができにくい素材ですが、100%大丈夫とは言えません。治療前に歯科医師と相談する必要があるでしょう。
金属アレルギーのリスクを回避したい方はジルコニアを使用したインプラント治療も選択できます。しかし、ジルコニアのインプラント治療にもデメリットがありますので注意が必要です。
治療後にメンテナンスを徹底する必要があるから
インプラント治療は治療が終わったら通院終了するわけではありません。インプラントを長持ちさせるために定期的な通院が必須です。メンテナンスを怠るとインプラントの寿命が短くなり、最悪抜け落ちてしまう可能性があります。 コラム 2023/12/13
通院の頻度としては3か月〜6か月に一度です。個人差があり、自宅でのセルフメンテナンスがきちんとできている方は通院頻度は多くありません。毎日のセルフメンテナンスで十分では?と考える方もいるかもしれませんが、歯科医院でしかできないメンテナンスもあります。
メンテナンスには手間もかかりますし、費用もかかります。面倒に感じる方であればインプラント治療はおすすめできません。高い費用をかけて寿命の長いインプラント治療をするのであれば、その後長持ちさせるためのメンテナンスは必須と言えるでしょう。

インプラント脱落による再治療の難易度が高いから
インプラントが抜け落ちてしまった場合、再治療が難しい点もインプラントは絶対にだめといわれる理由の一つです。インプラントが抜け落ちる理由としては寿命のほか、お口の中の環境が悪くなってしまう場合もあります。顎の骨が少なくなり、抜け落ちたとなると再度インプラント体を埋め込むのは難しいでしょう。
しかし、絶対に再治療できないわけではありません。被せている人工歯が抜けた場合であれば、人工歯を再度作り直して再治療できます。顎の骨が少なくなった場合であっても、骨造成が可能と判断されれば、再治療できるでしょう。
「老後が悲惨」といわれているから
インプラントは、「老後が悲惨」といわれることがあります。将来インプラント治療を受けた方が要介護状態になり、自分で歯磨きができなくなったときに、インプラント周囲炎のリスクが極めて高まるためです。
介護者が、インプラントの複雑な構造を完璧に清掃するのは非常に困難です。その結果、お口の中が不衛生になり、インプラント周囲炎が急速に進行して、腫れや痛み、脱落といったトラブルに見舞われるケースが少なくありません。
また、認知症によりインプラントのケアが困難になる可能性も考えられます。
治療後も、生涯にわたる徹底した自己管理と、定期的なメンテナンスが必須となるのです。
コラム

2023/12/01
「インプラントは絶対にだめ」ではない!メリットも豊富
ここまでインプラントは絶対にだめといわれる理由をご紹介してきました。インプラントはデメリットだけでなくメリットも豊富にある治療方法です。メリットも踏まえたうえで治療をするか検討しましょう。
- 歯根がなくても治療できる
- 周囲の歯を傷つけない
- 審美性が高い
- 発音や咀嚼をしやすい
インプラント治療のメリットを4つご紹介します。インプラント治療ならではのメリットですので、これを踏まえて治療を進めると決断する方もいます。参考にしてください。
歯根がなくても治療できる
インプラントは1本から治療ができます。歯根が残っている場合であれば差し歯という選択肢ができますが、歯根がない状態だとその治療は選択できません。ただし、歯根から歯がなくなってしまった場合でもインプラントであれば治療ができます。
歯根は歯がぐらつかないようにする役割があります。インプラント治療の場合、人工歯根がその役割を果たすため、ぐらつかずに咀嚼できます。自然歯と同じ働きができるインプラントは歯根からなくなった場合でも選択できる治療で、インプラントならではのメリットです。
周囲の歯を傷つけない
インプラント治療は人工歯根を埋め込む治療のため、周りの歯を傷つけないメリットがあります。
歯を失った場合の治療法にはブリッジと入れ歯がありますがどちらも周囲の歯を傷つけてしまう治療です。
健康な歯を傷つけずに治療できるインプラント治療は、口の中の健康を意識している方にとっては嬉しい治療です。
審美性が高い
インプラントの大きなメリットの一つにその美しさがあります。自然歯と変わらない見た目で、インプラントかどうかはぱっと見判断できません。人工歯根のインプラント体は歯茎に埋め込まれているため、違和感がありません。
また、被せ物はすでにある自然歯と同じ色味や形状で調整します。お口は顔の印象に影響を与える部分のため、審美性が高いインプラントはそれだけで人気のある治療方法です。
発音や咀嚼をしやすい
インプラントが天然歯と近い機能を持っている点は、発音や咀嚼に良い影響を与えます。
ブリッジや入れ歯などの治療法は、隙間ができるため空気が漏れて発音がしにくくなります。入れ歯に関してはお口の中が狭くなる点も発音に影響を与えます。入れ歯に関しては隙間に食べ物が挟まるため咀嚼もしにくいと感じる方もいます。
発音や咀嚼など日常生活において必要不可欠な行動に制限がかかるのは辛いものです。インプラントであればこれまでと同じような生活を送れるメリットがあります。
インプラントを成功させる3つのポイント
インプラントは絶対にだめといわれている一方で、インプラントにしかないメリットがたくさんあります。インプラントにより得られるメリットはとても魅力的なため、できればリスクなくインプラント治療をしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
そこでインプラントを成功させるポイントを3つにわけて解説します。
- 歯科医師と治療方針をよく相談する
- インプラント以外の治療と比較する
- 実績があり信頼できる歯科医院を選ぶ
これらを踏まえたうえでどんな治療をするのか選択できます。より良い治療方法を選択するため、まずは知識をつけましょう。
歯科医師と治療方針をよく相談する
インプラントはお口の状態や持病などで治療の進め方が変わります。治療期間や費用に関しても予定よりも大幅にオーバーする可能性もあるでしょう。不安や要望などについては歯科医師に相談するところから始めましょう。
その人ならではのリスクや注意点があります。自分は何に気をつけるべきなのか、生活スタイルの見直し、治療後のメンテナンスなど知っておくべき事項はたくさんあります。治療方針についてはよく歯科医師に相談するようにしましょう。
インプラント以外の治療と比較する
失った歯の治療方法は、インプラント治療以外にも以下のような選択肢があります。
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラントオーバーデンチャー
- オールオン4・オールオン6
それぞれの特徴を理解し、ご自身に最適な治療法を選択してください。それぞれ解説します。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣の健康な歯を削って土台とし、そこに橋をかけるように連結した被せ物を装着する治療方法です。
固定式のため、入れ歯のような違和感は少ないですが、周囲の歯を支えとするために、健康な歯を削らなければならない点が最大のデメリットです。
失った歯が1本から2本程度の場合に適用されます。
入れ歯
入れ歯は、複数本の歯を失った場合に有効な治療方法で、取り外し式の人工歯によって失った歯の機能と見た目を補います。保険適用の入れ歯もあるため、費用を抑えられる点がメリットです。
しかし、ほかの歯にバネをかけるため、支えとなる歯に負担がかかります。また、ずれたり、違和感が出たりすることもあります。
インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントと入れ歯の良いところを取り入れた治療です。顎に、2本から4本程度のインプラント体を埋め込み、そこを固定源として、入れ歯を装着します。
一般的な入れ歯よりも格段にしっかりと固定されるため、食事の際にもずれにくく、よく噛めるのがメリットです。
オールオン4・オールオン6
オールオン4・オールオン6は、片顎の歯を全て、あるいはほとんど失ってしまった場合に有効な治療方法です。片顎に4本または6本のインプラント体をバランス良く埋め込み、そのインプラント体を基盤として、12本程度の連結した人工歯をネジで固定します。
多くの歯を、比較的少ない本数のインプラントで支えられるのが特徴です。
実績があり信頼できる歯科医院を選ぶ
インプラント治療は簡単にできる治療方法ではありません。すべての歯科医師が対応できる治療ではないのです。歯科医院を選ぶ際にはインプラント治療の実績が豊富にある歯科医院を選ぶようにしましょう。豊富な実績を持っている歯科医師であれば、どんなお口でも対応して治療を実施できます。
また、実績だけでなく、丁寧に診察してもらえるか、説明はわかりやすいかもポイントです。信頼できる歯科医院で治療してもらうためには実績だけでなく歯科医師との相性も重要です。任せられる歯科医院を探すようにしましょう。
まとめ
インプラントは絶対にだめといわれる理由はたくさんあります。しかし、インプラントにしかないメリットもあるため、一概にインプラントがだめとは言い切れません。審美性が高く、他の歯に影響を与えないインプラントはお口の健康を守りたい方におすすめできる治療方法です。
失った歯の治療方法はありますので、他と比べたうえでインプラントにするか判断しましょう。インプラント治療を成功させるためには歯科医師とよく相談し、信頼できる歯科医院にて治療を受けるようにしましょう。
当院ではインプラント治療をおこなっております。インプラントをご検討中の方は、イオン直結のおくだデンタルクリニックへお気軽にご相談ください。港南台バーズ、ロピアにお越しの際もぜひお立ち寄りください。
この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎
略歴
2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る
所属学会
アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会