インプラント治療中の仮歯とは?役割・入れる期間・期間中の注意点

インプラント治療中の仮歯とは?役割・入れる期間・期間中の注意点
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「インプラント治療中に仮歯は何のために入れるの?」「仮歯を入れている期間、食事や歯磨きはどうすればいい?」と不安に思っていませんか?

インプラント治療における仮歯は、単なる見た目のカバーだけでなく、最終的な歯を成功させるための重要な調整役です。インプラント体と骨が結合するまでの期間、噛み合わせや歯茎の形を整える役割を果たします。

この記事では、インプラントの仮歯が果たす役割から、装着期間、そして治療を失敗させないために知っておくべき注意点までを詳しく解説します。
この記事を読んで、仮歯の期間を安心して過ごし、理想的なインプラント治療を成功させるための知識を身につけてください。

インプラント治療中の「仮歯」とは?

インプラント治療における仮歯とは、最終的な人工歯が入るまでの間に装着する一時的な歯のことです。治療の段階に応じて使われるもので、決して飾りではありません。
インプラント体を埋め込んでから、最終的な被せ物が入るまでには時間がかかります。その間、お口の中の環境を守り、快適に過ごすために仮歯は欠かせない存在なのです。

インプラント治療中の歯がない期間に仮歯を入れる

インプラント治療では、歯がない期間を補うために仮歯を入れます。抜歯や手術の後、最終的な歯が入るまでには数カ月の時間がかかるためです。
歯がないままだと見た目が悪く、食事もしにくいため、仮歯を入れて日常生活を快適に過ごせるようにします。とくに前歯の場合は、見た目の問題が大きいため、手術当日に仮歯を入れるケースも少なくありません。

インプラント治療中に治癒を待つ期間が生まれる理由

最終的な人工歯を入れるためには、インプラント体と顎骨の結合が必要不可欠です。この結合を「オッセオインテグレーション」と呼び、ある程度の期間がかかります。
インプラント体と顎骨がくっつく前に強い力をかけると、治療が失敗する恐れがあります。そのため、焦らずに骨が安定するのを待つ時間が必要です。

インプラント治療中の仮歯に使われる材質

仮歯に使われる材質は、主に「レジン」と呼ばれる歯科用のプラスチックです。レジンは加工や修正がしやすいため、お口の状態に合わせて形を調整するのに適しています。
最終的なセラミックの歯に比べると強度は劣りますが、治療中の変化に対応しやすいメリットがあります。見た目も天然の歯に近い色で作ることが可能です。

インプラント治療中の仮歯が果たす4つの役割

インプラント治療中の仮歯には、単なる穴埋め以上に大切な役割があります。主に以下の4つです。

  • 自然な見た目と発音のしやすさを保つ
  • 噛み合わせを維持する
  • インプラント治療の傷口を保護する
  • 顎の骨・歯茎の状態を損なわない

詳しく解説します。

自然な見た目と発音のしやすさを保つ

仮歯を入れる最大の目的の一つは、自然な見た目と発音のしやすさを保つことです。
治療の仮定で前歯がないと人前で口を開けるのが恥ずかしかったり、空気が漏れて喋りにくかったりします。一方仮歯があれば、治療中であることを周囲に気づかれにくく、普段通りに会話を楽しめます。
精神的なストレスを減らすためにも、インプラント治療中の仮歯は欠かせないのです。

噛み合わせを維持する

仮歯には、噛み合わせの位置が変わらないように維持する役割があります。歯がない期間が続くと、隣の歯が倒れてきたり、噛み合う反対側の歯が伸びてきたりして、噛み合わせがズレてしまうからです。仮歯を入れてスペースを確保することで、周囲の歯が動くのを防ぎます。
正しい噛み合わせを保つのが、最終的な治療の成功につながります。

インプラント治療の傷口を保護する

インプラント手術をしたあとの傷口を、外部の刺激から保護する役割も果たします。
手術直後の歯茎はデリケートなため、食べ物が当たったり舌で触ったりすると、治りが遅くなる可能性があります。仮歯が蓋のような役割をして、傷口を守ってくれるのです。
ただし、傷口を圧迫しすぎないように調整されています。

顎の骨・歯茎の状態を損なわない

仮歯を使うと、顎の骨や歯茎の状態を損なわず、むしろ理想的な形に整えることができます。
最終的な歯を入れる前に、仮歯で歯茎の形をコントロールし、歯が歯茎から自然に生えているような形を作ります。いきなり最終的な歯を入れるよりも、仮歯で調整したほうが、歯茎との馴染みが良く美しい仕上がりになるのです。

インプラント手術後はいつからいつまで仮歯を入れる?

インプラント治療において仮歯を入れる期間は、患者さんの口腔内の状態や治療計画によって異なります。ここでは、仮歯を入れるタイミングと一般的な期間について解説します。

仮歯を入れるタイミング

仮歯を入れるタイミングは、治療方法によって大きく二つに分けられます。
一つは、インプラント手術と同時に仮歯を入れる「即時荷重(そくじかじゅう)」と呼ばれるケースです。これは、顎の骨の状態が良い場合や前歯など審美性が重視される場合に選ばれます。
もう一つは、インプラント手術後、数週間〜数カ月経過し、インプラント体が骨に結合してから仮歯を入れるケースです。安定性を重視する一般的な治療計画ではこちらが採用されます。

仮歯を入れる期間

仮歯を入れる期間は、インプラント体が顎の骨に完全に結合し、最終的な被せ物が完成するまでです。通常、この期間は数カ月〜半年程度になることが多いです。この期間中に、仮歯を使って噛み合わせや歯茎の形を細かく調整し、最終的な歯が最も長持ちし、美しく見える状態を作っていきます。
結合の期間には個人差があるため、歯科医師の指示に従って経過を観察することが大切です。

インプラントで仮歯が入っている期間の注意点

仮歯は最終的な人工歯に比べて強度が劣ります。破損や脱落を防ぐために、以下の4点に注意してください。

  • 硬い食べものや粘着性の高い食べものは避ける
  • 歯ブラシは優しく丁寧におこなう
  • 仮歯を入れたまま治療をやめない
  • 仮歯が外れた・破損したらすぐに医師へ相談する

一つずつ解説します。

硬い食べものや粘着性の高い食べものは避ける

仮歯が入っている期間は、硬い食べものや粘着性の高い食べものを食べるのを避けるようにしてください。硬いものを噛むと仮歯が破損したり、インプラント体に無理な力がかかったりする恐れがあります。
また、キャラメルや餅などの粘着性の高い食べものは、仮歯を引っ張って外してしまう原因になります。食事の際は、仮歯に負担がかからないよう、なるべく反対側の健康な歯で噛むことを心がけましょう。

歯ブラシは優しく丁寧におこなう

仮歯周辺の歯磨きは、優しく丁寧におこなう必要があります。
仮歯の周囲やインプラント手術部位は、歯周病菌による感染を予防するために清潔に保たなければなりません。しかし、強くゴシゴシと磨きすぎると、仮歯が削れたり外れたりする原因になります。
歯科医師や歯科衛生士から指導された、柔らかい歯ブラシや歯間ブラシを使って、傷口を刺激しないよう注意しながら清掃をおこなってください。

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仮歯を入れたまま治療をやめない

仮歯が入って「見た目や機能が回復したから」といって、自己判断で治療を途中でやめるのは絶対に避けてください。
仮歯はあくまで一時的なものであり、長期間使い続けるための耐久性は備えていません。また仮歯が破損すると、インプラント体がむき出しになり、感染リスクが高まります。
最終的な被せ物を入れてこそ治療が完了しますので、必ず歯科医師の指示に従って治療を最後までおこないましょう。

仮歯が外れた・破損したらすぐに医師へ相談する

万が一、仮歯が外れたり破損したりした場合は、すぐに治療を受けた歯科医院へ連絡してください。外れたまま放置すると、歯茎やインプラント体が不適切な形に変形したり、インプラント体が細菌に感染するリスクが高まったりします。
自己判断で元に戻そうとせず、速やかに専門医の診察を受け、再装着や修理をおこなうようにしましょう。

まとめ

インプラント治療における仮歯は、治療中の見た目や発音の維持、噛み合わせの安定化、そして手術部位の保護といった重要な役割を担っています。
仮歯が入っている期間は、治療の成功と最終的な被せ物の美しい仕上がりを左右する大切な期間です。硬いものを避けて優しくケアし、外れたり破損したりした場合はすぐに歯科医師に相談するなど、注意点を守って過ごすことが、インプラント治療を成功させるための鍵となります。
おくだデンタルクリニックでは、インプラントのご相談を随時承っています。インプラントを検討中の方やインプラントについて不安がある方など、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

本院院長 奥田 健太郎

略歴

2002年 日本歯科大学卒業
2002年 歯科医師免許取得
2003年 医療法人京和会梅田歯科 勤務
2005年 医療法人武内歯科医院 勤務
2009年 おくだデンタルクリニック開院 院長就任
2010年 九州大学大学院 博士号(歯学博士) 取得
2010年 九州大学大学院 歯学府 卒業
2011年 医療法人社団 健光会 設立
現在に至る

所属学会

アメリカインプラント学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
AAIDアメリカインプラント口腔学会
日本顎咬合学会